北便り
～知床にて～
横殴りの雪が 季節を凍らせている
いろいろな形をした 流氷の塊たち
岸壁に上がろうと 砕ける響きが
陸で眠る 漁船を怯えさせる
最果ての 北の町辺りは
何も色が無いと 聞いたけれど
肌に突き刺さる 風雪
地平線まで 埋め尽くした流氷
山並みには 樹氷の群れ
眼に映る全てが 蒼く見える
確かな厳しさを 教えられて
ちっぽけな感傷が シバレて落ちる
海明けなど 遠い先の話
まして桜など ５月の頃
キタキツネや 鳥の声を聴く
今を生きる事に 懸命なんだと
耳から心 そして 身体へ
お前たちの温もりが 染み込んでくる…
※Ｐ.Ｎ 出戻 始
執筆当時 ２４才
一部に加筆あり
