restart3210の雑記帳(R)

ヤフーブログから引越しして来ました

嘆願書-生命の見積もり-

 
嘆願書
 
-生命の見積もり-
 
 
 
俺は最後まで 署名を拒んだ
障害を持った子供の 行く末を悲観して
殺した母親の 嘆願書なんかには
生命を大切に 育てる愛情はあっても
子供の人生を 消し去る権利は無いはず
 
親の勝手な判断で 命の重さを
勝手に見積もったことが
何より悔しい
 
教師は言う
「母親の気持ちを察してやれ」と
ー子供の人生はどうなんだ?ー
心で 俺が叫ぶ
 
半ば強制的に 回される嘆願書に
ただ反抗していると
思われても構わない
軽はずみな解釈で 語りたくは無い
考えが蒼過ぎると 非難を浴びても
生命を奪った事実を
許せない 見逃せない
この書類で たとえ罪は減らせたとして
一生背負う苦しみを
減らす事は 出来ない
 
 
PN.出戻 始
 
※月刊MY詩集
昭和63年2月号(194号)掲載作品
加筆・添削なし