STATION
それぞれの歩幅で すれ違う
数々のドラマの 主演者たち
どんな物語と どれくらいの
セリフやシーン 背負って
この街から旅立ってゆくの
この街に舞い戻ってくるの
無口で無表情の サラリーマン
満面笑顔で駆け抜ける 子供たち
土産物を抱え汗を拭う 親の姿
ホームでは別れを惜しむように
抱き合った 遠距離の恋人たち
それぞれの心を 呑み込み
吐き出してゆく 列車の音
硬いベンチに腰掛け 見守り
僕は ただの観客を演じてる
※1996/2 サークル誌「夢喰(バク)」18号に掲載