○2010年９月某日，知人から電話連絡あり．
「カセットの音が篭もる」との事． 車での送迎を条件に依頼を承諾．
考えられるトラブルを想定，必要な道具の入った工具箱を用意．
20分後迎えの車が到着，知人宅に向かう車内で質問．
1. DVDホームカラオケシステム内蔵のカセット部分
2. 録音ソースはDVDカラオケやビデオ録画した演歌の歌謡番組など．
3. 製品の企画・販売は日本，製造は海外に委託(知人宅で確認)
4. ３年前に購入し，毎日使用している．
この事から推測すると，多分ピンチローラー，キャプスタン，録再ヘッドの
汚れの可能性大． 場合により消磁の必要も． 万が一，内部回路が問題
なら修理業者へ持込をと提言．
知人宅に到着，奥様に挨拶． さっそく案件の機器のカセット・ホルダーを開ける．
逆さにカセットを入れるタイプで，少しは作業がし易い． 常時使用のテープを再生し
篭もりを確認．停止して取り出したテープを見ると，軽く“ワカメ”状に!? 何回も繰返し
録再しているのが伺える． 綿棒にクリーニング液をつけ一連の作業を開始．
とても頑固な汚れで，何本も綿棒を費やす羽目に． ついでに端子のクリーニングも
敢行． 先程のテープの事を聞くと，やはり何度も繰返していた． 数回に留めるよう
テープ面を見せ説明するが，今ひとつ納得いかない顔． 清掃部分が乾いた頃合で，
試験も兼ねて持参のテープを挿入し再生． 馴染みの演歌の曲が流れる． 何とか
篭もり解消！ 以前までの音との違いに，唖然としている知人と奥様．
自宅に向かう車中で「なぜ自分のテープより音が良いのか」と訊かれる． その機能に
特化した機器があると説明したが，そんなに面倒なら使えないと言われる． 「簡単に
扱えて，そこそこの音で聴ければいい」のだと．
「知らなきゃ深みに嵌らない． 知らなくても普通に生活できる． 故障したら新しいのに
買い換えればいいっしょ！」 そう笑いながら話す知人に，その機器と使用メディアが
風前の灯火だとは言えなかった． 知らぬが幸せ，知らぬが最強！である．
